過去のお薦め@2001年
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いつ?
オススメはこれ!
こんな感じだ
'01年01月 

P.F.M.
:serendipity
SONY(Italy) 498901-2

イタリアのプログレバンドの2000年度のアルバム(現在の所、最新作)である。今は地元での活動を中心にしているため、曲はイタリア語で唄われる。

名盤『幻の映像』の頃はKBをかなり前面に押し出した幻想的な音作りとバロック音楽をmixしたような彼らならではの独特のテイストの音楽を聴かせてくれたが、アルバムを重ねるごとに音作りはどんどんタイトになっていき、ハードプログレ風味に変わっていった。このアルバムもその流れにあり、ギターのリフを中心とした曲が目立つ。ただ、メロディなど全体的にPOPさもあり、わりと聴きやすいアルバムだ。

彼らの演奏能力の高さはデビュー時から言われていたが、このアルバムでもその力を余すことなく発揮している。
「:automaticamente」はジェフ・ミルズ風のピアノリフが印象的なディスコチューン。昔の彼らからは想像できない曲ではあるが、メロトロンのストリングス音やキレの良いギターカッテングが気持ち良い。続く「:la quiete che verra」は初期の彼らを思わせるドラマティックな曲。メロトロンがガンガンと活躍してプログレ者にはもう、とてもたまらない曲である(^-^;

PS.
1/19に発売になった雑誌「ストレンジディズ」に彼らのこのアルバムに関連しての最新インタビューが載っている。ファンは要チェック。

'01年02月

戴佩
『怎樣』
EMI百代ED-10009

のっけから軽快なノリの曲で始まるこのアルバムは全曲彼女の作詞作曲だ。
ファーストアルバムを聴いたときは許茹芸とかを思い浮かべたのだけど、このアルバムを聴くと、唄い方とかがもう少しコントラストが強い。バックもいわゆるバンドサウンドで固めてあるんだけど、それが実に良く似合っている。
8)のアラビアンなロックアレンジの曲も意表を突いているけどハズしてはいない。
唄の上手さは前作より確実に向上していて、最近の歌手の中でもいい線いっている。
惜しむらくは声の個性が弱く、曲によって陳綺貞マンマだったり、許茹芸風であったり、范文芳にも似ている(^-^; 「あれ?これ…誰だろう?」という匿名的な感じを受けてしまうのが勿体ない。
アルバム全体に曲、アレンジともに練ってあり、聴いていて飽きない出来だ。どちらかといえば、一人でじっくり味わって聴くのが似合うかな。買って損のないアルバム。

'01年03月

鬼束ちひろ
『INSOMNIA』
東芝EMI TOCT24560

発売日、新聞で全面広告をうつ、という東芝の力の入れよう。
彼女の声質はソウルシンガーの太さをもっていて、日本人としてはわりと珍しいタイプだと思う。その声でオーソドックスなバラードを唄うと独特の包容力が出る。彼女の最大の武器だろう。聴いているうちにすっと取り込まれてしまう。

今回のアルバム、もう少しハードな作りでくるかな、と思っていたのだが、正攻法のバラードてんこ盛りであった。「月光」「眩暈」などの代表曲はしっかりと光っている。
その中で中盤5曲目の「We can go」のカントリータッチが彩りを添えたり、後半8曲目の「Cage」のスピード感が気分を引き締める役割をなしていて上手い。

ところで4曲目の「edge」。
この曲を聴くと、声こそかなり違うが順子の「回家」を思い浮かべてしまう。詞のシチュエーションやメロディライン、そしてアレンジなど、もしかしたら参考にしたのでは?と思うほどに雰囲気が共通するんだけど…どう?

'01年04月

彭羚
『給Lisa』
SONY新力 50243248.2

彭羚の北京語新譜
最近の彼女のアルバムはどれも柔らかめのバラード中心となっていて、それはそれでいいんだけど、折角のパンチある歌唱力をお蔵入りさせてしまっているのはとても勿体ない気がする。

今回のアルバムもほとんどが癒し系(^-^;のバラードであるが、一曲だけ元気のいい曲が入っている。
「躱不開的快活」(廣東語verの「美人駕到」は香港盤に同時収録)だが、これがいい。結構、ワイルドなvoスタイルで唄っていてアルバムにメリハリをつけている。アレンジも、跳ねるビートにざっくりしたギターが絡んで歯切れがいい。

このアルバム、リピート機能をONにして聴くことをオススメ。エンドレスで聴いている内に、夕方、海岸でうち寄せる波を眺めている時のような、そんな穏やかで安らぐ気持ちになってくる。

'01年05月

順子
『…and Music's there…』
EMI台湾 
ED11001-7243-5336-7220

EMI移籍後、初のオリジナルアルバム。2年間の宙ぶらりんの間に数百の曲を書きためていたらしく、その中から選りすぐりされたと思われるアルバムだから出来が悪いワケがない(^-^;
過去の作品と比較すると、よりアレンジ重視型になっている感じ。
全体的にjazz的味付けがされていて、大人っぽくcoolな印象がある。
全曲、彼女自身の作曲・プロデュースなので、この路線は今の彼女自身が求めている方向なのだろう。彼女がスイス滞在時に入っていたバンド「DUTY FREE」もjazz指向が強かったらしいし。

彼女の透明感あふれるVo.は今まで以上にテクニカルかつパワフル。そしてjazzアレンジされていても彼女の曲はしっかりと「順子して」いる。
順子らしいバラードの 05)月光 と、とにかく格好いい 07)只要在一起 が私のお気に入り。また来日しないかなぁ。目の前で唄って欲しい〜!
とにかく聴いてみて>all 

'01年06月

YEMIN
『4〜Na E Namu』
SYNNARA MUSIC
KSC-A124

韓国のバラードシンガー、イエミンの4枚目は、前作『NOSTALGIA』の路線を引き継ぐ作りだ。彼の唄う曲はいわゆる歌謡曲的なバラードではない。彼の儚げな声やどこかに厳かさを感じるメロディのせいもあり、まるで賛美歌を聴いている様でもあり、人によっては癒し系ととらえることも出来るだろう。例えが適切かどうか分からないが、日本でいえば初期のさだまさしに近いかもしれない。かぼそく病み上がりの様な雰囲気。柔らかくさらっと唄うところも。(←あぁ、しかし誤解されそうな例えだな)

彼の唄を聴いていると、忘れていた時間が蜃気楼のように浮かんでくる。ハッキリと、ではなく、おぼろげで、手が届きそうなのにつかみ取ることが出来ない…そんなもどかしさと、閉じこめられていた微かな記憶にまた巡り会えた嬉しさと。
とても甘酸っぱく、そしてセンチメンタルで、、、愛おしい瞬間。

このアルバムが気に入った人はぜひ前作も聴いてみて欲しい。リリシズム溢れる好盤でオススメ。 

'01年07月

Brown eyes
『first album』
iKpop
SMDSCD-10

韓国の男性二人組ユニット。
基本はR&Bだが、シティポップス風の軽さをもっている。
中華圏で言えば杜徳偉とか陶、テンションみたいな感じ。
さらっと乾いたvoとハーモニーがなんとも魅力(上手いです)

曲は軽快なダンサブルなもの、そしてミドルテンポのメロウなバラードが主。夜更けの都内、ビル街を車で走るときにカーステレオから流れていたらハマりそうな感じ。
韓国のR&B、ダンス系はどちらかといえば男臭い体育系の歌手が多いが、こちらはちょっぴりセクシーでジェントルな雰囲気を漂わせた感じ、といえば分かってもらえるだろうか(^-^) うーん、どっちかっていえば女性に強くお薦めする。…もちろん、男性が聴いてもとても楽しめます!
ここで出来の良さで評判の彼らのビデオクリップがみられます。

PS.サッカーの2002年ワールドカップの公式テーマソングである「Let's Get Together Now」の韓国側のユニットが彼らとLena Parkです(日本側はCHEMISTRYとSowelu) 

'01年08月

孫燕姿
『風箏』
WEA
092740172-2

もう、のっけからノックアウト(^-^;
いやー、かっこ良すぎ、孫燕姿!!

買って聴いて。これしか言うことありません。

…でもこれだけではあんまりなので(^-^;
そのルックスから単なるアイドルと思われ勝ちだが、彼女は紛れもなくアーティストだ。ひょろひょろとした独特のヴォーカルは、ちょっと聴くと頼りなさげに思えるが音程はしっかりしているし、表現力もピカイチ。この魅力に気が付きさえすれば後はもう彼女の世界に身を任すだけ。

今回のアルバムは彼女のふわりとした声と上手くコントラストがつくヘヴィなバックの1)、4)、10)の出来が素晴らしい。

そして5)などの孫燕姿らしいバラードもなんともいえなく美しい。
静かなバラードの3)と、ちみっとボサノヴァ風味6)は孫燕姿自身の作曲。

ベストトラックは1)。
大音量で聴くと
超快感(^-^)

'01年09月

江美
『想起』
VERGIN VD0106 

今回のアルバムは前作に比べると更に大人しく、しっとりとしたものになっているが、決して地味で暗い出来、とかではない。
どの曲もじんわりと(そう、なんだかこの人の曲はこの「じんわり感」がいいのだ)効いてくる。

のっけの1曲目から、期待を裏切らない、ど真ん中直球的正攻法のバラード。最初に聴いたとき、不覚にも涙が出そうになった。ぐいっ、とアルバムに引き込まれる。この曲はデンマークのバンドであるNatural Born Hippies「Am I Not Sweet」のカヴァーなのだが、本歌と聴き比べてみて、随分と上手く彼女向きにアレンジしたなぁ、と感心した。しかも本歌もスマッシュヒットこそしているが、世界中でヒットしたわけではなく、どうやって見つけてきたんだろう(^-^; 渋すぎ。

2曲目も柔らかなバラード。彼女の世界にどっぷりと浸かって身を任せればいい。ゆったりと漂ったまま、郭子作曲の3曲目へ。いかにも彼らしいメロディラインのバラード。安心して聴ける。4曲目はバブルガム、というタイトル通りのバブルガム・ポップ。2枚目『第二眼美女』の「ビタミン」とかと同じバンドサウンド路線だ。彼女の弾け具合がなんとも(笑)

5曲目は陳珊の作詞作曲。
6曲目の生ギターのアルペジオ曲に和まされて、7曲目へ。この曲は十一郎・張宇の強力夫婦コンビ(^-^;のバラード。ストリーミングでFM917を聴いていたらアルバムCMとして良く流れたので印象が強い。これまた、生ギター中心でとつとつと唄われるのだが、メロディが強いので非常に耳に残るのだ。

8曲目は汪佩蓉の作詞作曲、軽いフォークロック。
9曲目は袁惟仁の作詞作曲、これも生ギターのアルペジオが中心の柔らかなイメージの曲。広がり感のあるアレンジで美しい。
10曲目はバンドサウンド。ちょっとBeatlesのYellow Submarine風味のトボけた感じ(^-^)
11曲目はピアノと弦の美しいバラード。
12曲目は結構、唐突感のあるjazzバラード。でも、〆にはピッタリな雰囲気。ゆっくりと幕が下りてくる感じ。 

'01年10月

紫雨林
Jaurim
ANTINOS RECORDS
N.U.K.E.S.
ARCJ 2006

韓国のバンド、ジャウリムの日本デビュー盤だ。
最近、頻繁に来日してあちらこちら(大会場から学園祭まで)で精力的にライブを行っている紫雨林である。その姿勢は大いに評価できると思う。日本で売れることが全てじゃないけど、これだけの音を出せる有能なバンドが評価されずに終わったら日本の観客の目は節穴、ということになる、と思う。

実際にステージを見たことがあるが、アルバムと寸分違わない…否、よりグルーヴしたゴキゲンな音を聴かせてくれた。そしてユナ嬢のステージ上のパフォーマンスも自信にあふれていて実に堂々とした素晴らしいものだった。
このアルバムは日本向けにミックスを変えたり、リテイクしたりしたベスト盤となっている。そのために既存曲を集めたベストよりも、より「今のバンドの音」となっていて、サウンド的にも統一感が出て、アルバム全体が実に良くまとまっている。ハングルの歌詞の日本語訳も勿論付いているので、全くハングルが分からなくても問題ないだろう。

ROCKが好きで、バンドサウンドが好きで、アネゴ肌の美人が好きで(爆)、格好いい音楽を聴きたかったら迷わずゲットだ!

なお、リードボーカルのユナ嬢のソロアルバム『 Shadow of Your Smile』もリリースされたのでジャウリムファンは迷わず買い、であるな(^-^;

'01年11月

彭羚
『我的彭羚…』
SONY新力 505183-2

来年1月末に香港で久しぶりの演唱會を予定してる彭羚の廣東語新譜。
SONY香港がほとんど宣伝してないのが歯がゆいが、とても素敵なアルバムなのでぜひ聴いてみて!

彭羚の澄んだハイトーンヴォイスにぴったりの軽快なナンバーから始まるこのアルバム、情念的なバラードやクールなラップ、癒しされるヒーリング曲、などなど、バラエティに富んだ仕上がり。もう2曲ぐらい冒頭のタイプの曲が入っていたらなぁ、というのがちょっぴり惜しい点ではあるけど、でも、良く出来たアルバムだと思う。

黎明と瀬戸朝香の映画『バレット・オブ・ラブ』主題曲「暗戀無罪」が収録されている。映画のラストで流れる彼女の歌声は物語にプラスアルファの効果を与えていた様な気がする。

'01年12月

許茹芸
只説給
EMI ED11003

 

許茹芸のEMI移籍第一弾。
今までの路線よりさらに浮遊感を加味したサウンドメイクが心地よい。音づくり的には流行の癒し系と言えるが、この人の場合、もともとその要素は強かったし。
生ギターを活かしたアレンジは温もりや優しさというものを感じさせてくれる。彼女の声は、静かに、柔らかく歌いかけてくれる。

出てから随分と長い間聴いたけど飽きることがない。こんな風に、聞き込んでも、流しておいても心地よいアルバムというのはそうあるものでもない。

2曲目〜3曲目の流れが大好きだ。どちらもカヴァー曲なのだが本歌が強烈に知りたい。特に3曲目のタイトルチューンは彼女の今までの曲の中でも3本の指に入れたい素晴らしいバラード。彼女のヴォーカルの素晴らしさをじっくりと聴いて欲しい(この曲のMTVで共演している男性は陳慧琳の弟の陳司翰〜ビクター・チャン)

そして8曲目。これも美しい。メロディも彼女のヴォーカルもすーっと空に抜けていくような、例えようのない気持ちよさ!

カヴァー曲の多い、ある意味では作り手が楽をしているアルバムではあるが、これだけ彼女にフィットした選曲ならあれこれ言えない。 

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